初恋 2


一応、私は人間であるからして、人間に惚れねば初恋とは言わぬであろう‥。
と、ある時、思い直す。
人間‥といえば、これはもう間違いない。彼である!
その名も‥ タヌキ先生。
‥‥格好良すぎる。あああ〜

小学3年生のある日、お休みした担任のピンチヒッターとして、彼は現れた。
ジジイである。
いきなり朗々たる声で、
「青空たぬき」と申します〜。妻は「きつね」、娘は「ひばり」と「つぐみ」‥と自己紹介。黒板に書くのも忘れない。
当然、この時点で私のハートは鷲づかみである。
そして、彼は流れるように「検便」の採り方の講義(っちゅーか、実演)を始めた。
給食台に新聞を敷き、上がって、またいで、ウンチんぐポーズ。
「う〜んとひねり出しまして、それを割り箸でこのように口に‥‥ 持っていってはいけません‥」
しないよ、先生‥。
妙に冷静にツッコミながらも、ちょっとうっとり‥。

すでに顔さえ覚えてないが、あぶないデカの課長だか部長さんが出てくるたびに「タヌキ先生や〜」と思っていたのだから、中条静夫(?)似なんだろう。結構、面食いな奴である。
その後も、いや〜ん、可愛い〜! と思うのは、用務員のじいちゃんだったり大滝秀治だったりと‥ 私のジジコン路線を確定させたのは彼に違いない。


ちなみに、教頭先生であらせられたらしい(詳細不明)



back