刹那


ほんの瞬きするほどの間なのに、ずいぶん長く感じられることがある。
私の場合、大抵は「身の危険」が起こったときに、それが生じる。

以前、弟の助走付き「ヒップボンバー」(尻のタックル)を頭に受けた時も、尻がゆっくり巨大化して飛んできた。 (しかし、気付くのが遅かったため、結局、吹っ飛ばされる‥。こんなので、首がイッたら浮かばれん‥)

我ながらもっともブラボーだったのは、中1の時‥。
自転車に乗っての帰宅途中、別の自転車を漕いでいた友人が、何を思ったか腕を組んできたのである。
「ちょちょちょ! コケるって!!」
そう私が言った瞬間、お約束通りに友人はコケた。
しっかり私を巻き込んで‥‥。

その時である‥
私を取り巻く時の流れ‥ その速度が変わったのは‥。
コマ送りのように異常にスローモーな時の中、私は宙に浮いている。
そして私の着地予定地には、でーんと友人が転がっていた。

 ぅオイーーーッッ!! 邪魔ーーーーッッ!!

このままでは、友人を踏みつぶすことになる。後にして思えば、踏んじまっても罪はなかったろうが、私は、とっさに身をひねり、片足をついて、更に跳んだ。

体勢が悪かったのか、今度はほぼ水平飛行である。
‥と、目の前に何かが近づいてくる。
石‥石段である。

 ヤバイッッ!!

そう判別した、瞬間、私は石段に手を伸ばし、地を叩いた。わずかだが、体が持ち上がり、石段は顔面直撃コースを外れる。
そして、石段(一段高くなった歩道のへりだった)の上にスライディング!!
痛みと共に、時は元に戻った。

 すげぇ! 人間は本来の能力の○○%しか使っていない‥とケンシロウが言っていたが! これか!!

以前、階段から転がった時もスローモーだったが、あの時は、重力のなすがまま‥。しかし、今回は‥。

 私ってば、進化してる〜!!

擦り傷だらけ(その後アザだらけ)なりながらも、満足感でいっぱいの私だった‥。(←アドレナリン放出中で、あまり痛くないのか??)。



ちなみに、友人は無傷‥(どーゆーこっちゃ!)



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