使えます…



高山植物が綺麗だと評判の山に行った……が、すでにピークは過ぎていたらしく、想像していたビューティホーな彩りはない。
そんな地味〜な景色の中、わずかだが鮮やかに目を引く花があった。
2種類あるのだが、どういうわけか両方ブルー(青紫)。
ひとつはリンドウ(野菊の墓のあれだねぇ)。
しかし、もうひとつがわからない。
はっきりいって、こっちの方がみずみずしくゴージャスな感じがする。
「なんだろね〜」と母とブツブツ言っていたら、通りすがりのオジサンが得意げに教えてくれた。

「トリカブトだよ…」

と・り・か・ぶ・と…
時々、別れたい夫の抹殺用に活躍するあの毒の花である。
たしか、こいつからとった毒を「附子(ぶす)」とか言って、「不細工やな〜」の「ブス」の語源だったりする(この毒にやられると脳が麻痺して無表情になるんで、表情のない人をブスって言うようになった。おお、勉強になるねぇ…)。
何故か、国語で「狂言」を習ったときに、教わった気がする…。

しかし、まさか、こんな食べちゃいたいくらいにプリチーだったとは……!(死ぬって?)
親指サイズの花で、烏帽子(えぼし)状の袋がちょこんとついている。
いや、トリ「カブト」なんだから、烏帽子じゃなくて「兜(かぶと)」なんだろうけど…(今、大河でやってる前田利家みたいなカブト)。

母が、「根っこが毒なの?」と尋ねると、

「葉っぱも、花も イケル よ!」

と、オジサンは自信たっぷりに答えてくれた。
母はすかさず、前方を歩いていた父に、
「お父さ〜ん、これ食べてみて〜〜!!」と朗らかに叫んでいた。



残念、お父、トリカブト知ってたよ…(オイオイ)



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