愛の伝道師 その1


ある朝、バス停のベンチに腰掛け、無心におにぎりを食べていると、何故か唐突に……目の前に手のひらがあった。

 な……にっ?(大汗)

何が起きたのか理解できない私。
見上げると、手のひらの向こうに見知らぬ兄ちゃんがいる(滝汗)。

 一体、どこから湧いて出た……??

兄ちゃんはニコリともせず、事務的な口調でこう言った。

「貴方のために祈らせてください……」

 いーーー…らーーーー…ねぇ〜〜〜〜〜っっ!!

私の至福の時間を、何の権利で邪魔する気ーーー!?
しかし、初めにビビッた時点で、私の負けは確定したらしい。
その上、おにぎり頬張りすぎてて、何もしゃべれ〜〜〜ん!!(マヌケ)

兄ちゃんはブホブホ言ってる私を無視して、勝手に祈りはじめた。
「目を閉じてください」と高飛車に言い渡されて、一応、閉じるフリをしてしまう自分が悲しい…(だって、怖ぇんだもん)。
その憤りをぶつけるかのごとく、ガフガフおにぎりを食べ続けていると、祈り終わった兄ちゃんに、
「祈ってる最中は、食べないでくださいね!」と小言をくらった。

 てめぇこそ、食ってる最中に、祈るんじゃねぇええ〜〜〜!!(心の叫び)

朝から手痛い一撃をくらって、バスに乗り込むと、今度は友達の白〜い目が待っていた。
「もう、恥ずかしいったらー!!」だのなんだの、ここでもまた説教をくらう。

 ああ神さま。
 これも何かの試練ですか…??




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