許すまじっ! その3
痴漢との暗闘……。
一番危険なのが、満員電車で身動きがとれなくなった時である。
前後左右からの圧力で、足が宙に浮いてるのに立ってるよ……みたいな恐怖の満員電車(完全に浮いた時は感動したよ)
そんな中、痴漢と偶然(ぶつかった)を見分けるなんて困難でしょ?……と思うかも知れないが、全くそんなことはない。
……とか言っておきながら、もちろん初めのうちは分からない。
その為、多少さわっ…と感じても、しばらくは我慢するハメになる。
ところが、それがいけないらしい。
恥ずかしくって声も出せない子……と勘違いされるのである(たぶん)。
そうなると、とたんに犯行はエスカレートする。
もみ… もみもみもみ……
な… にっ??!
こうなれば間違いようもない。
痴漢である。変態である。犯罪者である!!
しかし、そう断じた瞬間、ドアが開き、私は大量の人の流れに押し流されてしまった(自分も含め、大半の人が降りる駅)。
くそぅ、敵は知能犯か? なんというタイミングの良さ!
その上、あまりの混み具合に、手を動かすことも出来なかった。
これではいけない!
反省した私は、翌日は一応警戒体制を取ってみた。
カバンは片手だけで持ち、フリーの手を腰の当たりで待機させて置いたのである。
自意識過剰のようだが、それくらいしなければ、気がおさまらないんだから仕方がない。
見ず知らずの変態のせいで、何故、朝からブルーにならねばならんのか!?
そして、あれ? 今日はもう大丈夫?…なんて安心したその時、不幸にもダークな予測は現実となったのである。
もみもみもみ…
来やがった……!
間違いなく、変態である!!
私は、すかさず待機していた手で、犯人の手を、ガシィィイ!!…っと掴んだ!
…とたん!?
ぐわっと掴み返され、そのまま、ぐいぃっ!っと人混みの中に引きずり込まれてしまったのである。
ひぃいいいいい、怖ぇええ〜〜……!!
予想外の展開に、ビビっているうちにドアが開き、犯人の顔を拝むことも出来ぬまま、また逃げられた。
ぬぅううう〜〜 もう許せん〜〜……(プチッ)。
私ゃあ、キレた。
触られたのも腹立たしいが、変態に負けたことがこれまた悔しい!!
「痴漢ーーっ!!」っと声を上げるのが先決だったと反省しつつ(キャーとか言えないたち)。
翌日は、ポケットにシャーペンを忍ばせて待つ。
うふふふふ……。
正当防衛じゃ。過剰防衛で怒られたって構わんも〜〜ん!!
それに、まだ未成年だし、シャーペンだし、大丈夫やろ…(確信犯)。
けど、間違えて他の人刺さないように気を付けないとな……(相手は人垣の間に隠れてるし…)。
などと、ブツブツ考えながら、復讐の時を待ち続ける私。
……しかし、復讐の願い叶わず、それ以降、その電車で痴漢に遭うことはなかった。
ちっ… 妖気でも立ってたか?(怒りのあまり)
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