ぬぅ……


散歩の最中、川のほとりで面白いものを見たという母。

マイシスターの頭に似たモソォっと毛むくじゃらな物体が、川の中程に落ちていたと言うのである。
何故に妹の頭!?? そう聞き返す私に、
「○○(妹)の頭みたいに大きかったのよ〜」とまったく悪びれる様子のない母。
そんな不気味な物体を表現するのに使われるなんて、なんて哀れなんだ妹の頭よ……。

そういえば、妹は昔、水死体を発見したことがあったよな……。
そうそう確か、近所のオバサンも近くの池で入水自殺中の人助けたとか言ってたし……。
連鎖的に恐ろしいことばかり思い出してしまい、一人ダークな気分に突入する私。
しかし、一方の母はますます絶好調で。

「あれは、ヌー! ヌーよっ!!」

と力強く断言する。

 ヌー……?

私の脳裏を「ヌー(サバンナに棲む牛みたいなの)」の大群が駆け抜けていく(それも川を渡る最中、ワニに襲われてるところ……)。
しかし、母の言っている「ヌー」は間違いなくそれではない。十中八九……

「ヌートリアやろ?」(でっかいネズミみたいのん)

「そうそう、ヌーよ、ヌー! 見てる間に、モソモソ動いて水の中に入ってっちゃったのよ、ヌ〜〜!」


 ああぁ、全く聞いちゃいねぇよ……(T"T)




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