チャーリー
私のチャーリー(自転車)は、小学生の時に買ってもらったので、既に十数年使い込んでいる(そのうち二十年… キャー)。
その名も「自転車さん」! 敬称を付ければ、自転車さんさん!(ああ、あまりに芸がない……。自転車SUN…とか、ヒーローっぽくしとけば良かった…)
さておき、小学生の分際で「大切に長〜く使うぞ!」と意気込んだ私は、愛らしくカラフルなママチャリ達を無視し、黒くていかつい見るからに骨太なチャーリーを選んだのだった。ポイントはステンレス製で「サビにくい」こと!
ただし、ステンレスはハンドル部だけだったので、結局、他は錆びまくり(騙された…)。
サドルは私の重厚な尻に磨き抜かれ、今や高級革張り風になっている(幻想)。
買った数分後、迫り来るトラックと違法駐車の自転車達に挟まれて転け、あっさりカゴが歪んだ時には、「見かけ倒しか?」と失礼なことを考えてしまったが、彼(?)は幾多の「名誉の負傷」にもめげることはなく(塗装は剥げたが)、人間なら接骨院で骨盤矯正してやりたいくらい、そこはかとなく歪んだボディ…へと変貌を遂げたのだった(カゴも本体も一度歪んだら元に戻らない…。ある意味頑丈、私の寝癖頭のようだ…)。
その哀愁漂う姿からか――
やたらと自転車を盗まれてくる妹(四台? たぶんもっと)に気を付けるよう言えば、
「姉ちゃんのボロ自転車なんか、誰も盗まん!」と反撃され(ぐっ)、家族の大半から「新聞屋の自転車」「買い換えろ」と言われる始末……。
だが、こう付き合いが長いと完全に情が移ってしまっている。
乗車後ついつい「ありがとね〜」と撫で撫ですること幾年月……。
「そろそろ、新品に替えたいな〜〜」なんてふと思っては、
「それは自転車さんへの裏切りよっ! 不貞行為よー!」
…と一人悶々とする日々なのである(アホやん)。
ここ数年、ハンドル部と胴体の接合部がカクカク動きだしたこともあり、坂道を上るときなどは、「ハンドルすっぽ抜けそう〜」「無事かチェーン!?(絶対寿命切れてる)」等々、スリル感もひとしお!(はぁドキドキ…)
こうなったら、全解剖してチューンナップだー!!…とは思うものの、私に出来るのは、せいぜいパンク修理まで。ブレーキも電灯もイカレてるので、なんとかしないといけないんだけど……。
そんなある日、車の塗装(父がぶつけたところの塗り直し)をしていた弟が、私の顔を見るなり、
「姉ちゃんの自転車、ドカティにしといたで〜〜!」
などと言うではないか!?
ドゥカティって言やぁ、イタリアの「真っ赤っか〜」なお高いバイクでしょぉ〜???(あんま知らんけど、弟が一時「ドカ、欲しい〜」とわめいていた)。
いくら黒地に銀に赤錆び…という渋めの色合いだからって、勝手になにすんのさ〜〜!!(シャア専用か〜〜!? 号泣)
大慌てで、自転車さんの元に駆けていくと、そこには「ドゥカティ」と異国の文字が描かれた真っ赤なバイクカバーが!!
その下の自転車さんは幸い無事だったが(ホッ)…、バイクっぽく見せるため、荷台にはわざわざ植木鉢が乗せられていた(たまに落ちていると、弟の指導が入る。ぬぅ…)。
バイク泥棒が開けてビックリの仕掛けらしいが、自転車さんが盗まれたらどーすんのさー!
それでも、化け猫並みの長生きっぷりに敬意が払われたのか、「捨てろ」とうるさかった父までもが、最近では「直してやれよ…」なんて言っている。
うーーん。やっぱ買い換えは無理なのだろーか……?(オイ!)
自由に部品を組み立て、リサイクル自転車を作らせてくれる所がある(それも無料!)
…とTVで言っていた。いつか行ってみたい〜〜。
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