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▼ ヘスペリデス & ヘスペロス
爪の垢でも飲ませてみたい!(特にオリュムポスの面々に…)
天を支える巨人アトラスの子供達。3人姉妹のヘスペリデス(※1)とその兄弟のヘスペロス。
ヘスペリデスは、アトラスの回で紹介したとおり、世界の西の果てに追放されたアトラスに最後まで付き従った、親孝行な娘達のこと。
ヘスペリデスの園にあるヘラの「黄金のリンゴのなる木(※2)」を、百の頭を持つ
ラドン(おおっ! ※3)という眠ることのない竜とともに守っている。
鉄壁の防御を誇るも(※4)、あまりにも遠い地なのでめったに誰も来ず、普段は鼻歌交じりに踊っているらしい(「黄昏の娘達」なんて呼ばれているが、太陽の沈む辺りに住んでいるからで、メランコリーな気分にひたっているからではない…)?
一方のヘスペロスも、姉妹らに負けず劣らず、優しく賢く、とても親切な巨人だった。
しかし、このような天然記念物的善人はギリシア神話にそぐわないのか(?)。
人々に愛されるヘスペロスを快く思わない、心の狭〜い神がいたらしい(誰なんだろう…。思い当たる神が多すぎる…)。
ある時、その嫉妬深い神は、山登りしていたヘスペロスを見つけると、強い風を送りつけて、ヘスペロスを吹き飛ばしてしまった。
しかし、それではあまりにムゴイ…。大地に叩きつけられそうになったヘスペロスを救い、天に上げた神がいた。驚くことに、あのゼウスである(ゴメン、犯人候補に入れてたよ…)。
ヘスペロスは、彼の心のように美し〜い「宵の明星」となり、夜空に光り輝いているという(※4)。
※1 4人説、7人説など様々。単数だとヘスペリスと呼ぶ。
※2 ゼウスとの結婚の記念に大地の女神ガイアから贈られた。
ゼウスが浮気相手達に「ボクの愛の証だよ〜ん」とリンゴをプレゼントしていることを知り、安全なこの地へ移した。
※3 勇者ヘラクレースがリンゴを取りに来たとき、矢で射殺されたが、ヘスペリデスの園を守った功で、ヘラによって天へ上げられた。りゅう座となる。
※4 リンゴ泥棒を発見すると「お兄さん、私達と一緒に踊りましょうよ♪」と陽気に誘いかけ、飲めや歌えやのもてなしで何しに来たのかを忘れさせてしまう。そして、酔っぱらったところを崖から海に突き落とす……という高等テクニックを使う(実は恐ろしい…?)。
※5 「宵の明星」…すなわち、金星は ビーナス(ローマ神話のアフロディテ)と呼ばれているが、あまり深く考えない!
古代ギリシア人は、「明けの明星」と「宵の明星」(ともに金星の別名。金星は明け方と夕暮れ時しか見ることが出来ないので…)を、別の星だと考えていたらしい。
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