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▼ ミュラ

 「神さまのモラルを問う会」副会長


 キュプロス島といえば、海の泡から生まれた愛と美の女神アフロディテが漂い着いた島。当然、彼女の信仰が盛んで、王族は美男美女揃い(※1)。
 この国の王女ミュラは、アフロディテの祭礼をサボった為(「アフロディテより美しい」といわれたのが原因とも…)、「叶わぬ恋」をする呪いをかけられた。

 叶わぬ恋のその相手は、なんと父王。
 道ならぬ想いに悩み、ミュラは死を選ぶことを考えた。
 しかし、乳母はそれを押しとどめると、ある夜、酒に酔った父王のもとにミュラを連れて行き、こう紹介したのである。
「名は明かせませんが、王様をお慕いしている方です」(待てーい!)。

 暗闇の中、ミュラは顔を隠し、見知らぬ乙女を装い続けた。
 しかし、幾度か夜を重ねるうち、父王は「これほど自分を慕う女の顔を見てみたいものだ」と思い、こっそりと灯りで照らしたのである。
 すると…… そこにいるのは、あろう事か自分の娘……!
(放送禁止ぢゃ -_-;)。

 父王は自分のしでかした罪を恥じ、恐れ、娘を殺そうと剣を抜いた。
 ミュラはかろうじて逃げたが、すでに身ごもっていた。
 彼女は各地をさまよい、やがて動けなくなると、神に祈った。
「生きている世界のものでも、死んでいる世界のものでもない、何かになりたい…」
 哀れに思った神々は、願い通り、彼女をよい香りのするミュラ(没薬 ※2)の木に変えてやったのである。

 そして……
 ミュラの木からは、ギリシアNO.1美少年「アドニス」が生まれた…(詳しくはアドニスの回にて〜 ※3)。


※1 無機物フェチのピュグマリオーンと、アフロディテに似せて作られたガラティアの子孫だったりする…(詳しくは、ピュグマリオーンの回参照)。

※2 かぐわしい樹脂を出し、死体の防腐剤として使われ、ミイラの語源になったとか…。

※3 イノシシが衝突して、木が裂けて生まれた。樹皮がはじけて自然に生まれた。
   出産の女神エイレイテュイアが触れたら生まれた… 等、諸説あり。
   罰を与えたことを後悔したアフロディテが触れたら生まれた


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