続き物。英雄ヘラクレスの一生で〜す!
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▼ ヘラクレス(その18)
さらば英雄、怒濤の最終回〜〜!!(やれやれ)
幾多の試練を乗り越えて、今やギリシア・ナンバー1の英雄ヘラクレス!
ひと通りの冒険を終えると、過去に自分に嫌がらせをした奴らに対し(王様が多い)、お礼参りの遠征を始めたり、そのついでに、オリンピアの競技会を復活させたりと結構忙しそう。
もちろん、可愛い嫁さんをゲットすることも忘れちゃいない。
今度の嫁さん候補は、デーイアネイラという美しい王女。
ヘラクレスは彼女を賭けて、恋敵である河神アケロオスと戦って勝利し(※1)、見事このビューチホーな妻を手に入れる。
ところが、これが運の尽き……!?
ある日、デーイアネイラを連れての旅の途中、大きな河に差し掛かったヘラクレス。
そこに現れたのは、河の渡し守をしているネッソスという名のケンタウロス(※2)。ネ「へい、らっしゃい! 河を渡るなら、任せて安心、ネッソス印の特急便だよっ! さあさ兄さん、奥方はどーんとアッシに任せておくんなせい!」
ヘ「え…っ あぁ…よろしく?」
勢いでお願いしちゃったヘラクレスは、妻をネッソスに託して、一人で河を渡っていく。
……と、背後から聞こえてきたのは妻の悲鳴。
あろうことかネッソスは、美しいデーイアネイラに欲情し、乱暴をはたらこうとしたのである。
妻のピーンチ! ヘラクレスは慌てず騒がず、ヒュドラーの毒がタップリ染み込んだ矢をネッソスに放った。
ひゅるるるるぅ〜……プスっ!
あああ、これって毒矢っ!? 助からないと知ったネッソスは、デーイアネイラにこう囁いた。
ネ「すまねぇ奥さん…。許してくれとは言わねぇが〜お詫びに聞いておくんなせぇ〜。アッシのこの血を取っておきゃぁ、旦那の愛を取り戻す媚薬になるんでさぁ…。浮気の際には、旦那の服にこいつを染み込ましゃ〜 ゲホガホゲヘガホ…… ぱたっ(御昇天)」
デ「何よ! ヘーちゃんが浮気なんてする訳ないじゃないのよー!」
なんて言いつつも、デーイアネイラは念の為、こっそりちゃっかりその血を取って置いたのである。
そして、ほどなく―― ヘラクレスに浮気の気配が……。
ヘラクレスが遠征先で、イオレーという姫を妾にしようとしているらしい(※3)。
デーイアネイラは早速、例の媚薬(ネッソスの血)を染み込ませた衣装をヘラクレスに送った。
ところが、愛の媚薬というのは真っ赤な嘘。
ネッソスの血にはヒュドラーの毒がたっぷり溶け込んでいた為、ヘラクレスは衣装を身につけたとたん苦しみだし―― 肌や身は焦げ、腐り始めた。
それを知ったデーイアネイラは自ら命を絶ち、また、死期を悟ったヘラクレスも、山の頂上に火葬檀を築くと、自ら炎の中に飛び込んだのであった……。
嗚呼、英雄の最期って、悲惨……。
――と、通常はここで終わるのだが、タダでは死なないヘラクレス!(いや、死んだんけど…)
人間の肉体を失ったのを幸い(?)、ゼウスはヘラクレスを星々の中に置き、神の列に加えた。
そして、ヘラ女神と仲直りさせ、ヘラの娘である青春の女神へーべー(※4)と結婚させたのである(娘婿にすりゃ、そんなにイジメられまいってこと?)。
つーわけで、英雄ヘラクレスは、女神の嫁さんゲット&ヘラクレス座となって、天界でハッピーにやっているらしい♪(たぶんね)
※1 河神アケロオスは変身能力を駆使してヘラクレスに対抗したが、結局、馬鹿力のヘラクレスには歯が立たなかった。
アケロオスが牡牛に変身した際にへし折られた角が、豊穣の女神に引き取られ、豊穣の角と呼ばれるようになったという。
※2 ケンタウロスは頭から腰までが人間で、その下は馬の胴体を持つ、半人半馬の怪物。乱暴で好色…なイメージが強い。詳しくは、ケンタウロスの回参照〜!
ケンタウロス族の滅亡の原因はヘラクレスにあったりするので、ある意味、自業自得のような……(「ヘラクレス その6」参照ね〜!)
※3 以前、ヘラクレスがお嫁さん候補として目を付けていたイオレー姫(前回「ヘラクレス その17」参照〜)。
ヘラクレスが姫を得るための試練にうち勝ったというのに、父王は約束を破って姫を渡さなかった。今回の遠征はそのことを根に持っての復讐戦だったりする(意外としつこい)。
ちなみに、王の長男・イーピトスを殺した罪は、もう償ったので関係ないらしい。
※4 青春の女神ヘーベーは、神々に酌をする役目をしていたが結婚退職した。
お酌をしている最中に転んでしまい、クビになったという説もある。
ちなみに、へーべーの仕事を引き継いで、お酌係りになったのが、水瓶座になった美少年ガニュメーデース(水瓶座の回参照ね)。
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