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▼ アタランテ

 熊保険入ってますぅ?


アタランテはとある国のお姫様(※1)。ところが子供のうちに「ワシは息子が欲しかったんじゃーい!」と父王に捨てられてしまう(いきなり怒濤の人生コース ※2)。
そして…… 山中に置き去りにされた哀れな女の子を拾い育ててくれたのは、なんと熊!?
熊少女アタランテは虎の穴ならぬ熊の穴で強く逞しく育ち…… 凄まじく速い脚、熊並みの馬鹿力、その上、かなりの美女〜♪…という無敵な乙女に成長したのである。

そんな野性的な美しさのアタランテに一目惚れしたのが、槍の名手であるメレアグロス(隣国の王子)。
もともと恋愛に関心の薄いアタランテであったが、似たもの同士ということもあり(狩りのことしか頭にないかんじ〜 ^^;)、すぐに意気投合し、お互いに惹かれ合った。
……のだが、山野を駆け巡るアタランテの姿を見かけた者達の間で「彼女は地上に降りてきたアルテミス(狩りの女神)ではないか?」との噂が広がり、これがアルテミスの怒りを買って、結果的に最愛のメレアグロスはあの世行き……(※3)。

アタランテは悲しみに沈み、フラフラとさまよう内に故郷へ帰りつき、両親との再会を果たす(帰巣本能!? ※4)。
そんな彼女の元には、メレアグロスが消えたのを幸いと、大勢の求婚者達が押し寄せていた。
強く、美しく、その上、お金持ち(王女やし)…の彼女を世間が放って置くわけがないのである!

やむなく、アタランテは条件を出した。
「徒競走で私に勝った者と結婚するわ。その代わり、負けたら首をもらう……」

アタランテの脚の速さは尋常ではない。挑戦者がスタート地点付近にいる間に、ゴールしてしまうほど。
その為、切り落とされた挑戦者達の首ばかりが、どんどん積み重なっていった……。
そして、求婚者達の首が全て切られた時、一人の穏やかな青年が名乗り出た。
ヒッポメネスという名のこの青年は、心からアタランテを愛していた。が、どう転んだって彼女に勝てるはずもない。
だが、彼には、恋愛を司る女神アフロディテの助けがあった……。

ヒッポメネスは女神から与えられた黄金のリンゴを3つ、懐に忍ばせていたのである。
そして、アタランテに追い付かれそうになるたびに、そのリンゴをコロリと落とし……。アタランテがリンゴに気を取られている隙に、なんとかゴォォォーーール!
見事、ヒッポメネスは憧れのアタランテと結婚、その王国をもゲットしたのである!

めでたしめでたし……。
で、終わるバージョンもあるのだが、そうは問屋が卸さなかったりする。

あろうことか、ラブラブモードになったアタランテとヒッポメネスは、御礼をしに訪れたアフロディテの神殿でメイク・ラヴ…… 結ばれてしまったのである(おいおい)。

アフロ「ししし…神聖な場所で、ななな何てことをっ!?」

女神が怒るのも仕方なし……??
アタランテとヒッポメネスはライオンに姿を変えられ、二度と交わることのないようにされてしまったとな…… おわり(当時のギリシアでは、ライオン同士は交わることなく、豹とのみ交わると考えられていた ※5)。



※1 凄腕の女狩人として有名で、大勢の英雄達が「黄金の羊の毛皮」を求めて旅立った「アルゴー号」の遠征にも、女性の身ながら参加したらしい。

※2 「生まれてすぐにポイ→熊に育てられ→猟師に拾われる」説から「捨てられてないっちゅーねん!!」説まで色々ありんす。

※3 メレアグロスの父王がアルテミスへの祀りをサボった為、怒りを買った…説の方がメジャー(たぶん)。
 詳しくは、次回「メレアグロス」の回にて〜!

※4 父の理想通りの頼もしい戦士に育っていたので、あっさり王位継承者になったみたい?……(えーのかそれで 汗)

※5 別の説では、二人がアフロディテのもとに御礼に行くのを忘れていた為に、怒ったアフロディテが、二人が女神キュベレ(女神レアと同一視される地母神)に無礼なことをするように仕向けた。
でもって、二人はライオンに変えられ、キュベレの戦車を牽かされているらしい……。



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