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▼ メレアグロス
燃え尽きたぜ……
メレアグロスはカリュドンという国の王子様。
彼が生まれたとき、ある不思議な出来事が起こった。王妃の前に灰色の顔をした老婆が現れ、炉を示して、こう予言したのである……。
「あそこに燃えている薪があるっしょー? アンタの息子の命、あの薪が燃え尽きない限り続くからぁ…って、カンジぃ〜?」
ヒィィイイイ……… この(妙な)婆さんてば、運命の女神ィィー!??(※1)
一瞬でそう気づいた王妃は、大慌てで炉から薪を拾い上げ、箱の中に隠したのである。
そーんな自分の秘密を知ることもなく立派に成長したメレアグロス(※2)。
近隣諸国にも知られる名狩人で槍の名手となっていたが、寝ても覚めても狩りのことしか考えない狩り馬鹿さんでもあった(ボロカス)。
嫁さんの必須条件は「一緒に狩りが楽しめること」と言い放ち、両親を困らせていたが、なんのことはない。ある時、いきなり恋に落ちる。
相手は熊に育てられた野生派美女アタランテ(前回参照ね)! 二人は野山を駆け巡り、狩りに明け暮れた……。
ところが、折りしも彼の国に現れたのは恐ろしい大イノシシ(※3)。
その大イノシシを退治すべく各国から名だたる英雄達が集められた(※4)。
何日も続く狩りで、多くの英雄達が命を落としたが、最終的にアタランテの放った矢がイノシシに当たり、メレアグロスがとどめを刺して、なんとかイノシシを退治することが出来た。
獲物の毛皮はとどめを刺したメレアグロスのものとなるはずだったが、アタランテLOVEの彼は、その名誉をアタランテに譲った。
ところが、それがメレアグロスの叔父達(王妃の兄弟)には我慢ならなかったらしい(神聖な狩りに女連れ込んだあげく、栄誉まで譲るってか〜! ムキー!!)。
いさかいのあげく、叔父達はアタランテから毛皮を奪い取ろうとした……のだが、逆上したメレアグロスによって、反対に殺されてしまう(あっさり)。
これを聞いて、怒髪天…の如く怒ったのは、叔父達の姉である王妃(メレアグロスの母親ね)。
「どこぞの馬の骨娘の為に、お前は叔父を…弟たちを殺したというのっ!(もちろんアタランテを嫁にしたい…ってのにも大反対)」
悲しみのあまり我を失った王妃は、隠していた箱から例の薪を取り出し、炉に放ったのである……。
その頃、メレアグロスはイノシシ退治記念の大宴会の真っ只中であったが、急に苦しげなうめきを上げたかと思うと、胸を掻きむしり…… そのまま死んでしまった(※5)。
予言通り、薪が燃え尽きると同時に……。
※1 モイラという三人姉妹で、この予言をしたのは、三女のアトロポス(紡がれた運命の糸をハサミでチョッキンする係)。
詳しくは、運命の女神(モイラ)の回参照〜!
※2 黄金の羊の毛皮を探す…アルゴー号の遠征にも参加。
ここで同じく遠征に参加したアタランテに出会ったらしい。
しかし、私が好きなのは、こっちの強引なバージョンだったり…(汗)↓
「メレアグロスが熊狩りをしていると、突如、目の前に瀕死の熊を担いだ美女が現れた(かつぐなよ)。
メレアグロスは、その野性的な美女に一目惚れ。
それボクの獲物だけど、気に入ったのならあげるよ――とかなんとか、早速、プレゼント攻撃に移った…のだが、何故かその美女・アタランテはブチ切れ、怒り狂って飛びかかってきた。
実はその熊は、彼女のお兄さんだったのである(アタランテは熊に育てられた)。
アタランテは一瞬で決着を付けるつもりだったが、メレアグロスはかなりの強敵。でもって、延々と揉み合っている内にアタランテの方も恋に落ちてしまったりする(アリっすか…
^^;)」
※3 カリュドン王が神々を祀った際、月と狩猟の女神アルテミスだけを祀り忘れていた為に怒りを買って、化けイノシシを送り込まれた……らしい。
※4 「カリュドンの大猪」退治は有名らしいっす。
テセウス(テセウスの回参照)、カストルとポルックス(双子座の二人ね)、イアソン(アルゴー号の遠征の主役)、ペーレウス(アキレウスのパパ)…等々、名だたる英雄が参加したそーな。
※5 息子の死を痛ましいほどに嘆く王を見て、王妃は初めて自分のしでかしたことの恐ろしさに気づき、そのまま自殺。メレアグロスの妻(すでにいたのね? アタランテじゃないよ)も同じく自殺。
イノシシを送り込んだ張本人・女神アルテミスも、さすがに気の毒になったのか、怒りをおさめて、彼女達をホロホロ鳥に変えたという…。
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