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▼ イオ

 美しさは罪〜 その6


 ある日、にわかに天空がかき曇ったのを見て、神々の女王ヘラは「ピュキーン!」と閃いた。
「あの やどろく(※ゼウス)、また浮気してるわね〜〜!!(怒怒怒……)」

 都合の悪いことを雲で隠そうとしているに違いない!…というヘラの読みは大当たり!(恐るべし…)
 ゼウスはイオという愛らしい精霊(ニンフ)と逢瀬の真っ最中だった(※1)。
 …はずだが、浮気現場を押さえるべくヘラが踏み込むと、なんとそこにいるのは美女ではなく「牝牛」!?

ゼ「き、き…綺麗な牛だろう? エヘヘっ ^^;」
ヘ「あら、ほ〜ぉんと可愛い♪ 私に下さらない?(にっこり)」

 間一髪、イオを牛に変えて誤魔化そうとしたゼウスだったが、ヘラはとっくにお見通し。
 ヘラはゼウスから強引に牛(イオ)をもらい受けると、ゼウスがちょっかいを出せないように、イオをアルゴスという百の目を持つ巨人に見張らせたのである。

 一方、いきなり牛に変えられ、悲嘆にくれるイオ。
 自分を捜す父親(河の神)や姉妹達の姿を見つけたが、牛の鳴き声では「自分がイオだ」と伝えることすら出来ない。
 なんとか気づかせようと、蹄で地面に「IO(イオ)」と書いて見せると、ついに…

父「イオ… なのかっ? 可愛い私の娘の!?(あー、美味そうな牛… とか考えちゃったよ。やべぇやべぇ)」
イオ「モーーー!!(今夜はすき焼き…とか考えてたでしょ、パパぁ… 号泣)」

 しかし、再会もつかの間、すぐにアルゴスに気づかれ、追い立てられるイオ。
 百眼巨人のアルゴスは、いつもどこかの目が開いており、昼も夜も眠ることなく監視を続けているのである(隙がない!)。
 ゼウスはイオを解放すべく、ここ一番の助っ人(尻拭い?)、泥棒の神でもある伝令神ヘルメス(ゼウスの息子ね)にアルゴスの退治を頼んだ。
 ヘルメスは牧人に化けると、美しい笛の音を奏でてアルゴスを眠りに誘い、百の目全てが閉じたのを見計らって、その首を切り落としたのである(※2)。

 ところが、この程度じゃ収まらないのがヘラの怒り(つーか、火に油なのでは?)。
 今度は、短剣のような針を持つ巨大なアブを放ち、イオを追い回させた。
 休む間もなく、アブに追われ、刺され、半狂乱で世界のあちこちを逃げまくるイオ。
 ついには海を渡ってエジプトにまで追いつめられた……(※3)。

 そして…… イオがナイル河に辿り着いたとき、
 「もう浮気はし〜ま〜せ〜ん〜 TT」とゼウスが詫びを入れて、ようやくヘラの怒りが解除。イオは美しい元の姿に戻ることが出来たのであった。

 その後、イオはエジプトの地でゼウスの子・エパポスを産み、次いで、エジプト王と結婚。女王となって幸せに暮らしましたとさ(めでたし×2 ※4)。


 ※1 一説では、イオはヘラに仕える巫女(河神イナコスの娘)。
    ゼウスに見初められたあげく、「お前がゼウスに身を任せなければ、国民全滅」という、トンデモない神託を受けた……(オイオイオイ、オヤジ職権乱用〜)

 ※2 ヘラはアルゴスの死を悼んで、その百の目を拾い上げ、自分の愛鳥である孔雀の羽に飾ったそーな。で、孔雀の羽には目玉模様があるんだとか……。

 ※3 この時、イオが渡った海がイオニア海、海峡がボスポラス(牛の渡し)と呼ばれるようになった。

    また、逃亡中、山の頂に貼り付けられた神・プロメテウス(人間を作ってくれた神様。詳しくはプロメテウスの回参照〜)に会い、「ナイル河に行け〜」だの「お前の子孫が私を救う〜」だのと予言を与えられ、励まされたらしい…(つーことは、ヘラクレスの先祖なんか〜?)。

 ※4 イオはエジプトの女神イシスになった…といわれている。
    そして、白い牛はエジプトで神の使いとして崇められるようになったとか…。



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