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▼ カドモス
呪われた王!?
エウロペ(ゼウスの愛人 ※1)の兄。
ハルモニア女神(アレスとアフロディテの娘 ※2)の夫。都市テーバイの創建者(※3)。
今回の事の発端は、またしてもスケベ主神ゼウス。
ゼウスがカドモスの妹であるエウロペ王女を「わしのもんじゃーい」と連れ去ったせいで、カドモスは「エウロペを探し出すまでは、帰ってきてはならーーん!!」と父王に命ぜられ、妹探しのあてどない旅へと追い出されたのである。
「エウロペやーい。お兄ちゃんだよほほぉ〜い…… ひゅるりら〜」
懸命の捜索も空しく、手掛かり一つ得られないカドモス(なんせゼウスの愛の巣だしねぇ…)。困ったときの神頼み…で、アポロンの神託を求めた。すると……
アポロン「いいか〜い? まず、エウロペのことはちゃっちゃと忘れるんだ! で、これから出会う牝牛の後を付いて行って、牛が止まった場所にテーバイという名の町を作るんだ〜!」
…と、ある意味無責任な神託が下ったのである。
カドモスは言われたとおり、牝牛に出逢い、その場所を見つけた(妹のこともちゃんと忘れたよーだ)。
ここから始まる町づくり! カドモスは、まずは大神ゼウス(諸悪の権現)に生贄を捧げよう!…と思い立った。
家来達は儀式に必要な清水を汲みに出かけ、洞窟の中に清らかな泉を発見した。
…が、実はこの洞窟は、光り輝く黄金の鱗を持った巨大な毒蛇の巣だったのである!
いつまでも帰ってこない家来達を探しに出たカドモス。洞窟の中で大蛇の御馳走になっている家来達の死体を見つけると、
「仇は私がとる! さもなくば、ここで死を共にせん!」
そう心に誓い、死闘の果てに、どうにか大蛇を討ち倒した(※4)。
すると、どこからか不思議な声(※ アテナ女神)が聞こえてくるではないか……。
「大蛇の歯をとって、大地にまきなさい……」
言われたとおり、カドモスが大蛇の歯を地に植えると、その歯は見る間に大勢の武装した兵士に変わり、驚くカドモスを無視して、互いに殺し合いを始めた。
やがて争いは終わり、生き残ったのは五人の精鋭(※5)。
彼らはカドモスに忠誠を誓い、カドモスを王として、共にテーバイの町(※6)を造った。
その後、カドモスはハルモニア女神を妻に得、まさに順風満帆の人生に見えた……
が、実はカドモスの一族は呪われていた!
次々に不幸な死を迎えるカドモスの子孫達(※7)。
原因は、カドモスが殺した黄金の大蛇がアレスのもの(息子?)であった為らしい……(※8)
ある日、悲しみのあまりカドモスは、天に向かって叫んだ。
「蛇の命が神々にとってそれほど大事なものならば、私も蛇になりたいものだ!!」
言い終えるやいなや、カドモスの体は蛇へと変わり始めた。
妻であるハルモニアも、共に蛇となることを願い……
二人は森の中で静かに蛇としての天寿を全うし、冥界にあるエリュシオンの野(神々に愛された数少ない者だけが辿り着ける地)に送られたという。
※1 白い牛に化けたゼウスにさらわれた。エウロペの回参照〜!
※2 ハルモニアは「調和」を意味する。
※3 フェニキアで発明されたアルファベットをギリシャに伝えたとされる。
※4 この大蛇が天に上げられ「りゅう座」になったとな。
※5 この5人はスパルトイ(「播かれた男たち」の意)と呼ばれる。
※6 最初は「カドメイア」っていう名だったらしい(ごめんなさい、かなりあやふや)。
※7 娘のセメレ(焼死。酒神ディオニュソスの母。セメレの回参照)
娘のイノ(ディオニュソスを匿った為に、ヘラに呪わる)
孫のアクタイオン(アルテミスの裸を覗き見て抹殺)
孫のペンテウス(ディオニュソス信者のバカ騒ぎを止めようとして、酔っぱらった母親に殺される 汗)。
※8 一説では、蛇殺しの罪は、カドモスが数年間アレスに仕えることで償ったとか。
その後、アレスとアフロディテの娘であるハルモニア女神を妻に迎えたが、結婚式の際、ヘパイストス(鍛冶の神。アフロディテの本当の旦那)から「災厄の首飾り」を贈られ、これが一族を不幸に陥れた……ともいわている。
で、人の世に嫌気がさして、蛇になったとか……。
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