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▼ エイレイテュイア
ママ、そのへんにしときなよ〜(はぁ)
出産を司る女神。大神ゼウスと神々の女王ヘラの娘。
ゼウスとヘラの娘で、なおかつ出産という大仕事を司っている割には、今ひとつ地味な印象のエイレイテュイア(※1)。
もともとヘラが担当していた「出産」を守護するという任務を引き継いだらしいが、あまりの忙しさに、他神のようにスキャンダルを起こす暇がなかっただけかもしれない。
そんな彼女であるが、たま〜にキーパーソンとして神話に顔を出す時がある。
だいたいパターンは決まっている。
「ゼウスが浮気」→「お相手が妊娠」→「ヘラ様嫉妬」
→ そしてヘラ様の「嫌がらせ」の一手段として、エイレイテュイアが使われるのである…。
「苦しめておやり〜……!」と。
そう、安産の守り神である彼女の来訪なくしては、産まれるものも産まれない(出てこない)のである!
有名な話としては、太陽神アポロンと月の女神アルテミスという光り輝く双子が産まれた際のエピソード(※2)。
夫の浮気相手に優秀な子供が産まれると知ったヘラが嫉妬に燃えて、数々の出産妨害をしたあげく、最後の仕上げとして(?)、エイレイテュイアを茶飲み話に付き合わせて引き留めたのである。
その結果、エイレイテュイアはレートーの出産に気付かず、レートーは出産まで九日九夜も苦しんだといわれている(※3)。
また、ギリシア一の英雄ヘラクレス誕生の際も同様。というか、今度は浮気相手(母親)が人間なので、もっと積極的に嫌がらせ(オイオイ…)。
ヘラはエイレイテュイアを遣わし、出産を邪魔する呪いをかけるように命じたのである。 エイレイテュイアは、足、腕を組んで、指を絡ませるという格好で(どんなんや?)、産室の外で呪いをかけ続けた(しんどそう…)。
その為、陣痛が始まってから七日も赤ん坊は産まれず、母親は苦しみ続けたという(※4)。
困った母親に付き合わされているのならお気の毒だが、あの親にしてこの子あり…。
好きこのんで手助けしてたら……なーんて考えると、ちょっとコワイかも…(なにせ、流血好きの軍神アレースとも兄姉やし…)。
※1 同じく出産の守護神であるヘラやアルテミスも「エイレイテュイア」と呼ばれることがあるらしい。
※2 レートーの回参照〜。
※3 「レートーに出産する場所を与えるな」…という命令を触れて回っていた虹の女神イーリス(ヘラ様の伝令役)を他の女神達が説き伏せ、エイレイテュイアを迎えに行かせた。
レートーの境遇に密かに心を痛めていたイーリスはすぐさま、エイレイテュイアのもとへ飛んで、説得(この際、エイレイテュイアは賄賂をとったらしいけど… 汗)。
こっそり、レートーのもとに連れてきたという。
※4 この女神の妨害工作に気付いた「ガリンティアース」という侍女が機転を効かせ、「おめでとうございます! 無事に赤ちゃんは産まれましたよ!」とかなんとか叫んだ。
その為、「そんな、バカな!?」と驚いたエイレイテュイアの呪いが途切れ、その瞬間、ヘラクレスはスポーン!と誕生したという。
で、任務に失敗したエイレイテュイアはたいへん怒り、ガリンティアースをイタチ(ギリシア語で「ガレ」というらしい)に変えたのだった……。
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