今回から、しばらくはギリシア神話の世界観や名物スポットのご紹介〜!
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▼ 名物スポットにいらっしゃ〜い♪(その1)
まずは、超豪華(!?)世界一周!!
「カランカランカラ〜ン♪ おめでとうございます〜! サロン・ド・アフロディテ暇つぶし企画『特賞・世界一周旅行』が大当たり〜♪」
突如、貴方の頭に刺さった白羽の矢……!?
なんじゃこら〜!?と驚く間もなく現れたのは、天界の有閑マダムこと美の女神アフロディテと、その下僕…じゃなくて…息子エロース。
アフ「あら? 嬉しくないんですの? そう、貴方ですのよ、貴方に当たりましたの!」
思わず女神の美しさに見とれていると、天使のようなエロースが羽をパタパタさせて舞い降り、貴方の頭から白羽の矢をズッポリ引き抜く。
噴き出す血しぶき! 気が付けば眼下に貴方の死体が横たわっている。
アフ「……というわけでぇ、滅多に行けない天界、冥界、神々の秘密スポットまで貴方を御・案・内♪」
貴方「って、殺すな〜〜!!」
アフ「んまぁ、死人なのに素早いツッコミ! 貴方、なかなか見込みがありますわん♪ それとも、『徒歩で行き倒れフリーコース』の方がよろしかったのかしら〜? オプションで落馬率99%のペガサスか、コネで軍神アレースの戦車を借りられたんだけど〜? あら! 今日はアレースとデートの約束してたんだわ! あと頼むわねエロースちゃん♪」
エロ「またでちゅか〜! はぁ〜、チミもあんまり気にしちゃダメでちゅ! うちのマミーはいつもあんな調子でちゅから。旅が面倒なら、このままご臨終ちてもらっても別に構わないんでちゅけど、どうちます? え? どうちぇなら観光ちてから死ぬ? さちゅが『PANDORA〜』の読者さんでちゅね、飲み込みも諦めも早いでちゅ。その矢は、ゼウス様発行の『どこでもフリーパス』になってるので引き抜かないでくだちゃいね」
貴方の死体から引き抜いた矢を、霊体の貴方の頭頂部に再びプスッと刺し込むエロース。
エロ「まずは迷子にならないようにこの世界全体の説明が必要でちゅね! えっと〜」
と、上空を見まわし、いきなり矢を射るエロース。
数秒後、上空から光り輝く太陽神アポロンが落ちてくる。
エロ「あ、アポロン。この人に世界がどんな姿か見ちぇてあげたいんだけど…」
アポ「またお前か、何しくさったこのエロガキっ! 人の後ろに隠れとらんと、はよ出てこんかっ…… はっ!? エ、エ、エ…エロースくん、君をかばっているこの麗し〜い御方は誰かな? ドキドキドキ……」
エロ(こっそり)「ちゃーんと恋の矢で射ておきまちたから、チミのいうことならなんでも聞くはずでちゅ。あ、心配ちなくても、チミに刺さってるのは普通の矢でちゅよ。あの矢じゃ死ねまちぇんから〜。それじゃあ、ボクは帰りまちゅ〜、アポロンに襲われないように気を付けて下ちゃいね〜!!」
不吉な言葉を残して去っていくエロース。
すると、うっとりと目を潤ませたアポロンが、そっと貴方の肩を抱き寄せ、甘〜く囁きかける。
アポ「(スカッ…)キ…キミは霊体なんだね!? (スカッ…)嗚呼、キミに触れられないこの身が口惜しい〜っ!(号泣)」
貴方「もういいです。とっとと死にますんで、あの世に連れてって下さい(スッパリ)」
アポ「はっはっは、奥ゆかしいなぁ、ハニーは。心配せずとも解っているよ。世界の全て、そして、僕の全てが見たいのだね! いざ行こう、愛の楽園へ!」
げっそりしている貴方を天空高くにいざなうアポロン。
みるみる地上は小さくなり、眼下には丸く平らな円盤のような大地が見える。
その円盤のような大地の中程をベルトのように海が横切り、世界を南北に大きく二分している。
アポ「見えるかい、ハニー? あの世界の真ん中あたりで東西にのびている海が地中海。その北側の大陸が、キミがいたギリシア人の土地さ。南の大陸にはアジアに、エジプト、リュビアなんてのがある。さらにもっと南の果てに行くと、幸福で徳の高いアイティオピアー人ってのがいてね、神々は好んで彼らを訪ねては饗宴をともにするんだ」
貴方の心証をアップすべく、紳士的に解説をはじめるアポロン。
アポ「北かい? 北にはほら、高そうな山脈があるだろう? あの山々にある洞穴から 冷たい北風が送り出されてギリシアに吹いているんだけど、その山を越えた北の果ては実は常春の国なんだ。驚いたかい? そこにはヒュペルボレオスと呼ばれる これまた幸福な民族が住んでいてね、彼らには永遠の喜びと春が与えられてるんだ。もちろん、病気もないし年老いることもない、戦争だって皆無さ。ただね、その国には陸からも海からも近づけないことになっている。まぁ、ハニーが望むならいつでも案内するけどね、なんせハネムーンには最適な… ※1」
貴方「結構です」
アポ「はっはっは、クールだなぁハニーは。見とれている時間さえ許してくれないのかい(ウィンク♪)。
次は東だね。大陸の東の端の方にあるのがトロイア(※ 小アジアの北西端ね)。その彼方に見えるのが、エウクセイノス海(黒海)。そして、東の果てには、空と大地のつながっている場所があるんだ」
アポ「そして、西……。まず地中海を西へずっと行くと、ヘラクレスの柱と呼ばれる海峡があるんだ(※ ジブラルタル海峡)。ヘラクレスが西の果てを旅した記念に山を二つに割って海峡をつくったらしいんだけど、彼、力が余ってるんだねきっと……。
そして、その海峡を抜けると、そこから先は外洋さ。
ほら、円盤型の世界の周りを海がぐるりと取り囲んでいるだろう? あれが大河オケアノス。海じゃないのかって? 細かいことは気にしない気にしない! よく見ると、川の流れみたいに世界の周りを時計回りに循環してるだろ?
私も日没後、太陽の馬車を西の果てに運んだ後は、翼の付いた船に乗って、東の果てまで、どんぶらこ…とオケアノスの流れに乗って帰るんだ。
他の星達も同じさ、朝になると天空から西の海に沈んで、流れに乗って休憩しながら東へ帰るんだよ」
アポ「そうそう、言い忘れたけど、世界の西の果て、オケアノスの沿岸や小島には、冥界への入り口もあるし、いろんな化け物達も棲んでいるから勝手に一人で出かけちゃダメだよ。
あと、エリュシオンの野もあったっけ……。別名、幸福の野と言われててね、そこには神々から特別に愛された人間が…まぁ英雄達がほとんどだけど、死の苦しみを味わうことなく送られて、死後もずっと幸せに暮らすんだ(※2)。
……と、いうわけで、僕の愛を受け入れてくれるんなら、そこで暮らしてもいいけど♪ どう?」
※1 「北風の彼方の土地」を意味するヒュペルボレア、年中温暖で夜もない。作物も年中生育〜
アポロンは寒い冬の間はここで過ごすらしい。
※2 エリュシオンは、世界の西の果てにある…とする説の他、冥界の一部である…とする説もあります。
冥界自体、地底にある説から、オケアノスを越えた先…とする説等、様々なので、あまり深く考えないで〜(^^;)
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