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▼ 名物スポットにいらっしゃ〜い♪(その6)

 暗いのは地下だから! ―― 冥界 その3


 愛の女神アフロディテの暇つぶし企画「神話世界一周旅行」に付き合わされるハメになった貴方。
 神々の伝令役ヘルメス神の案内で、ついに冥界の門に辿り着いた!…ってことで、今週も行ってみよ〜!

 冥界の入り口・青銅の門――
 周囲に響き渡る、この世のものとは思えぬ獣の咆哮……(ま、あの世だけど)。
 貴方の目に飛び込んできたのは、門の手前、のっそり動き始めた小山のような影――。 思わず悲鳴を上げて後ずさる貴方の背中を、ヘルメスが楽しそうにポフポフ叩く。

ヘル「心配要らないぜ〜。あのワンちゃんは冥界の番犬ケルベロスだ。可愛いだろ?(※1)」

貴方「どこがワンちゃんなんですかっ!?? 頭が三つもあるし、シッポは龍ですよ!? なんか、アゴや背中からも蛇うじゃうじゃ生えてるし〜!!」

ヘル「たぶん―― 雑種…?」

 首をかしげて断言すると、嫌がる貴方をぐいぐい押して、門へと一直線に向かうヘルメス。

ヘル「だ〜いじょうぶ〜♪ 噛み付きゃしないから!」

貴方「嘘だぁあああ(号泣) じゃぁ、奴がくわえてるのは何なんですか〜!!」

ヘル「お昼ご飯?」

貴方「人ですよ、人! どーみても! 近づいたら食べられちゃいますよー!!」

 貴方が目撃したのは、門前を横切ろうとした亡者が、ケルベロスの頭のひとつに、ぱっくりと喰いつかれる場面だった。
 喰い千切られて残った体を、他の二つの頭が取り合うようにして食べている(←でも、魂だから血は出ないんだろうなぁ……)。

ヘル「ああ、あれは冥界から脱走しようとした亡者だよ。奴の仕事は脱走者を捕らえて食べることと、生きた人間を冥界に入れないことだから。これから冥界の住人になろうっていう亡者に手出しはしないさ。もちろん、俺達のことも歓迎してくれるだろうね」

貴方「なら、どうして私を盾にして進んでるんですかアナタはー!!?」

ヘル「ギク…… いや、これはっ……」

 ヘルメスが白々しく視線をそらすのと同時に、先刻まで、亡者を食べるのに一生懸命だったケルベロスが、こちらに気付いたらしい。
 三つの頭を上げるとじっと貴方を見つめ、大きなわれ鐘のような鳴き声で激しく吠えた。

貴方「き、き、き、来たーーー!!」

 ケルベロスは地響きを立てて走り寄ると、貴方を押し倒すようにのしかかる。

貴方「し……しぬぅ〜〜ぅぅ……」

 いや、もう死んでるんだけど……と、一人ツッコミを入れる貴方の顔に大量の唾液が降り注ぐ……。
 ケルベロスがその龍の頭付きシッポをちぎれそうなほど振って、貴方をベロベロ舐めているのである(※2)。

ヘル「ほら、歓迎してくれるって言っただろ? こいつも君がVIPな亡者だって分かるんだよ……」

貴方「いや、それより、何ひとりで空中に逃げてるんすかアナタは!」

ヘル「はっはっは! 気にするなよ〜! それより、トリカブトっていう猛毒の花、知ってるだろ? あれって、そいつの唾液から生まれたらしいよ〜。君も死んでて良かったね〜」

 ひとしきり貴方で遊ぶと、機嫌良く、もといた場所でくつろぐケルベロス。

ヘル「いやぁ、ごくろうさん! そして、ようこそ冥界へ! 噂に違わず、辛気くさいところだろ? それじゃぁ、次はどこ行こぉ? とりあえず、冥界の王・ハデスに挨拶かましとく?」

 満面の笑みで出迎えるヘルメスに怒る気も失せつつ、次回へと続くのであった……。


 ※1 ケルベロスの回参照〜!(←今回と内容被りまくり… スイマセン ^^;)

 ※2 通常は、シッポを振る程度だと思われます(笑)


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