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▼ 名物スポットにいらっしゃ〜い♪(その9)

 暗いのは地下だから! ―― 冥界 その6


 愛の女神アフロディテの暇つぶし企画「神話世界一周旅行」に付き合わされるハメになった貴方。
 神々の伝令役ヘルメス神の案内で、今週も冥界観光に行ってみよ〜!


 冥界の王ハデスの元を去り、ようやく冥界の内部に足を踏み入れることとなった貴方。
 ところが、冥界には数々の「恐ろし〜い方々」がいるらしい。ハデスは(珍しく親切に)姿隠しの帽子まで貸してくれた …のだが、ヘルメスは全く気にする様子もなく、のんびり空中を飛んでいる。

貴方「あの〜、かぶらなくて大丈夫なんですか? 帽子……」

 腰に掴まった貴方を振り返ると、杖の先端に引っ掛けていた帽子を、皿回しのように器用に回すヘルメス。

ヘル「こいつの出番はまだ後さ! 言うなればここは安全地帯。降りて見るかい?」

 言うなり、ヘルメスは足下に広がる広大な野に降り立った。
 どんよりと暗い空のせいで気付かなかったが、そこには見たことのない花が一面に咲き乱れている。

ヘル「この花はアスポデロスといって、枯れ落ちることのない花なんだ」(※1)

 薄ぼんやりと浮かび上がる花々を見つめている内に、ふと、あることに気付く貴方……。
 周囲を見まわすなり、ひきつったように息を呑む。

ヘル「あ〜 気が付いたぁ? ははは、怖がらない怖がらない。君の仲間みたいなもんだから」

 どうしてすぐに気付かなかったのか、貴方の視界に人型の何かが次々と浮かび上がってくる。影のようにぼんやりとしているが、それは間違いなく人間……。

ヘル「ハデスの館で死後の行き先を決められた亡者達の行く先は、大きく三つあってね、悪事さえ働いてなきゃ、ほとんどの亡者達はここ『アスポデロスの野』に来るのさ。ま、十中八九、君もここの住人だろうね」

貴方「え…? 普通の亡者にしては、皆、やたらと、どよ〜ん…としてません? 罰せられた後かと思っちゃいましたよ〜。ま、死んでるんだし生気のないのは当たり前なんでしょうけど?」

ヘル「ハハハ。ここの亡者達は、特別悪いこともしていないから、ここで生前と変わらぬ暮らしをすることになってるんだ。ただ、ここには良い事なんて、な〜〜んにもないからねぇ(断言)。喜びも悲しみもなく、ただただ同じ毎日を過ごしていくだけ…。やる気なくなるのも仕方ないんじゃない? そこに ぬぼーっと突っ立ってるお兄さんなんて、すでに思考することさえ忘れそうだし…」

貴方「頭使わないとボケるっていいますもんね…。けど、ボーッとするの好きだし、私、そんなに嫌じゃないかも〜」

ヘル「俺はゴメンだね(うげ)。それよか、次行こうぜ、次! なーんか、ここって気が滅入って仕方がない〜」


 ……と、ヘルメスが申してますので、次回に続く〜(笑)


 ※1 私的には、赤や紫っぽいイメージなんですが、今ひとつ不明です〜。
    知ってらしたら教えてねーん♪


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