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▼ 名物スポットにいらっしゃ〜い♪(その17)

 世界のヘソ!? ―― デルフォイ


 愛の女神アフロディテの暇つぶし企画「神話世界一周旅行」に付き合わされるハメになった貴方。
 今週は、虹の女神イーリスの案内で行ってみよ〜!


 魔法の絨毯(じゅうたん)の如く、虹色の輝きに乗って天空を横切る、イーリスと貴方。
イリ「お疲れではありませんか?」

 イーリスのそのいたわりが、貴方を癒してくれる。

貴方「西(アポロンの寝ている所)へ戻るんではないんですね?」

イリ「ええ。これからデルフォイへ参ります」

貴方「デルフォイって、アポロンの神託所の……?」

イリ「はい。御存知ですか?」

貴方「いえ、神託が良く当たるので有名ってことくらいしか……」

イリ「では、そちらへ着くまでは、私がガイドということで♪」

 イーリスは、楽しげに声を弾ませた。

イリ「デルフォイは、もともとガイア様(※1)…… ゼウス様の祖母に当たる大地母神の神託所で、息子であるピュトンという大蛇が番をしておりました。その後、アポロン様がその蛇を退治されて、ご自分の神託所とされたのです」

貴方「ク…クーデター……?」(それよか、息子が蛇って…… −−;)

イリ「あ……そのような大それたことではなく……。アポロン様がお生まれになる際、御母上のレートー様の御出産をピュトンが邪魔いたしましたので……(※2)」

貴方「復讐されたんですね…。けど、どうして、その蛇はわざわざ出産の邪魔なんか?」

イリ「何と申しますか…。全ての神が、アポロン様の御誕生を望まれていたわけではありませんので……(苦笑)」

 察して下さい…というように困った笑顔をみせるイーリス。
 とたん、貴方の脳裏に、アポロン誕生を妨げるため、大蛇ピュトンを差し向けたであろう犯人の顔が浮かんだ……。

貴方(ヘラ様かぁああ〜〜……)

 ヘルメスの話では、ゼウスの浮気相手であるレートー女神の出産を阻止すべく、ヘラ女神が嫌がらせの限りを尽くしていたという(※3)。
 恐らく、大蛇ピュトンもヘラ女神の命令で動いていたに違いない……(※ 出産できないように、追いかけ回してたんだそーな)。

イリ「その後、死したピュトンは、デルフォイのヘソ… オンパロスと呼ばれる石の下へ埋められ、巫女達もピュティア…… ピュトンの娘…と呼ばれるようになりました」

貴方「ヘソ…の下??」

イリ「はい。この地が、世界の中心(ヘソ)であることを表す石です。ゼウス様が、二羽の鷲を世界の両端から飛ばしたところ、ちょうどこの地で二羽が出会ったのだとか……」

 感心して聞いている貴方に、イーリスが勧める。

イリ「一度、覗いて行かれますか? 身の回りの些細なことから、戦争といった大事まで、この地の神託を求めて、多くの人々が群れ集って来ていますよ。険阻な崖に面した地ですのに……。巫女達は、蒸気の噴き出す地の割れ目に三脚を置いて座り、月桂樹の葉を噛み、瞑想して神の声を伝えるんです……」

貴方(ガス中毒で、ラリって(神懸かって)るわけね〜?… ^^;)

イリ「しかし、神託でしたら、アポロン様から直接お聞きになった方が早いですわね♪  きっと、明るく楽しい未来を約束……」

 言いかけて、今のアポロンの状態(恋の矢でフォーリンラヴ)を思い出したらしい……。
 イーリスが、顔を赤らめて焦り始める。

イリ「あっ、あっ。あのっ…決してそういう意味ではっ……(きゃ〜)」

貴方「そういう未来にならないよう、祈ってて下さぁい〜……(号泣)」

 二人の脳裏では、キラキラと微笑むアポロンが、クソ甘〜い言葉と、夢見がちな二人の未来像を囁いていた……。

 つーわけで、うなされながら次週へ続く〜〜!!



 ※1 ガイアの回参照〜!

    また、この地は、アポロンのものとなる前に、ガイアが娘のテミスに与え、テミスが更に妹に譲っていた……とする説もある。

 ※2 復讐には触れず、単に、周辺住民を襲っていたピュトンを退治した……としか、書かれていないものもある。


 ※3 「名物スポット〜 その13」参照のことー!
   巨人に欲情を吹き込んで、レートー女神を襲わせている。
   ちなみに、巨人はアポロン&アルテミス兄姉の矢で殺されている。


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