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▼ カローン
無賃乗船は許しまへん!
冥界を流れる河(俗に言う「三途の川」)で、死者の魂を運ぶ渡し守。
夜(ニュクス)の息子と言われる、薄汚〜い格好の根性悪な髭ジジイ(オイ)。けど、力持ちで、元気は良い(←フォロー??)。
冥界の入り口である青銅の門の前に横たわる、アケロン河(※1 もしくは、ステュクス河)で、せっせと仕事に励んでいるカローン爺さん。
仕事一途で頑固一徹、職人気質!……そして、評判はすこぶる悪い(←冥界の住人って、こういうタイプ多いよね〜 ^^;)。
というのも、渡し賃をがっちりせしめる守銭奴だから!
「馬鹿もん! ポケットマネーになんぞしとらんぞ! ちゃーんとハデス様に上納しとるわ! 公務じゃ、公務ー!!」(ホントか? ※ 金の行方は謎っす)
……と、カローンが聞いたら青筋立てて怒るかも知れないが、亡者にしてみれば冷酷無情・血も涙もない鬼ジジイ。
なにせ、正式な埋葬をなされていない亡者は、ぜ〜ったいに舟には乗せてくれないのだから。
ギリシアの人々は、死者を埋葬する時、口の中に「渡し賃」のコインを入れてやるのだが、その辺で のたれ死んだ者はその「渡し賃」がない。
つーわけで、ちゃんと弔ってもらえなかった可哀想な亡者達は、河を渡れず、冥界にたどり着くことすら許されないのである(永遠に渡れない説や、100年ほど川辺をうろうろ彷徨い歩いた後、向こう岸に渡してもらえる説…などアリ)。
また、冥界のスローガン「生者を冥界に入れるなー! オー!」にしたがい、生身の人間を渡すことも許さない。
カローンの舟は皮で出来ていて、とても軽い。その為、生身の体を捨てた魂しか乗せられない…ともいうが、それでも、カローンの妨害をかいくぐり、この河を渡りきった強者もいる。
有名なのは、死んでしまった奥さんを冥界まで取り返しにした楽人オルフェウス(※2)。
カローンは、オルフェウスの妻を慕う曲に感動して思わず渡しちゃったとか…(何せ、あの冥界の王・ハデスまで感動させる腕前だから…)、
青春の日々を思い起こさせる曲に、心のすさむ日常を忘れて涙(あの頃、俺は若かったぁあ〜)&ぼ〜っとしてる内に、渡し賃取るの忘れちゃった…とか言われている。
一方、最も多いと思われるのが「力ずく」(たぶん)。
この手は、英雄と呼ばれる方々の常套手段。
ヘラクレスが「12の試練」の一つとして冥界の番犬ケルベロスを捕まえにやって来たときは、カローンを恐喝して強引に舟に乗り込んだとか、勝手に河を泳いで行ったとか言われている…(注:泳いで渡るような体力バカはこの方くらいです ※3)。
皆に恨まれ嫌われて、行ったり来たりの単調なお仕事。その上、危険手当も出ないんだから、性格がゆがんでも仕方ない??
今日も元気に「この貧乏人がー!! 乗せて欲しけりゃ、金持ってきてから、一人前の口たたけ〜!」と亡者達を怒鳴り倒しているのかも〜?(汗)
※1 冥界は周囲をいくつもの河に囲まれている。
ちなみにアケロン河は『悲観のアケロン』と呼ばれている。
他には『増悪のステュクス』『火のプレゲトーン』『忘却のレテ』『嘆きのコキュトス』…などなど。
※2 「オルフェウス」の回、参照〜!
※3 「ヘラクレス(その14)」の回、参照〜!
※ 「名物スポットにいらっしゃ〜い(その4)(その5)」と、内容的に重複していますが、ご勘弁を〜!
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