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▼ ステュクス
約束は守ってねん♪
冥界を七回巻いて流れるどす黒い河(女神)。冥界の河の中で、最も有名な一つ(※1)。
世界の周囲を取り囲んでいる大洋河オケアノスの三千人の娘の一人。
『憎悪のステュクス』……なんて呼ばれ、神々からも畏れられている彼女だが、「きー! 憎たらしい、ぶち殺してやるわ!」なんて、すぐに喚き散らす恐ろし〜い女神…という訳でもないらしい(つーか、エピソード少なくて分かんないっす〜)。
神々が彼女を畏れ、一目置いている理由は、彼女が「誓約」を司る神だから!
ゼウスが天界の覇権を巡り、先代の天界の主で父親でもあったクロノス(※2)達と戦った時に、熱意(ゼーロス)、勝利(ニケ)、権力(クラトス)、暴力(ビア)という、4人の勇ましい我が子を引き連れて、最初にゼウスのもとに駆けつけたのがこのステュクス。
ゼウスは非常に喜び、彼女に誓約を司る任を授けたというわけ。
ステュクスの河の流れに誓った言葉は、神であっても決して破ることは許されず(その任を与えたゼウスさえも)、破った場合には、百年間(十年?)神の特権を剥奪されてしまう……という罰が待っていた(天界から
さようなら〜)。
その為、神々は厳粛な約束をする場合、この「ステュクスの流れ」にかけて誓いを立てた。
ところが、この絶対破ることの出来ない誓いを、気軽にしてしまう神がいるから困りもの。
ついつい調子に乗って「何だって願いを叶えてやるぞ〜! 誓おう、あの『恐ろしい河』の流れにかけて!」なんて、口走ってしまうのである。
例えば――
太陽神は、息子に太陽の馬車を貸す約束をしてしまい、あわや世界を丸焼けにするところだったし(※3)、
スケベ主神ゼウスは、浮気相手の女の子にリップサービス(?)で誓ってしまい、その子を焼き殺すハメに陥ったりしている(※4)。
他にも、冥界の「三途の川の渡し守」カローンのいる場所は、アケロン河ではなく、本来このスティクスだったとする説もあるし、トロイア戦争の英雄・アキレウスが、不死の体になるように……と、赤ん坊の頃に浸けられた河も、このステュクスだという(※5)。
おどろおどろで恐いイメージの彼女だが、意外と「悪いのは私じゃなくて、アホな誓いをたてる神々よおおお!」…と嘆いているかもしれない……。
※1 冥界は周囲をいくつもの河に囲まれており、有名なのが『増悪のステュクス』『悲観のアケロン』『火のプレゲトーン』『忘却のレテ』『嘆きのコキュトス』…の五大河。
ステュクス河は冥界を七回巻いて流れていて、アケロン、コキュトス、プレゲトーン、レテなどはその支流ともいう…(ちと自信なし)。
※2 クロノス&レアーの回参照〜!
ちなみに、クロノス率いる先代の天界の支配者達はティターンと呼ばれる巨人族で、サイズはデカいが見た目は人間(つーか神様。ex、空を支えるアトラス)。
戦いに負けて、冥界の奥底に封じられている。
※3 パエトンの回参照〜!
この時の太陽神は、ヘリオスだったりアポロンだったり、諸説有りです。
※4 セメレの回参照〜!
「本当の(神の)姿を見せて欲しい」とお願いされた。
雷光を伴って現れるゼウスの真の姿……その発するパワーに耐えられず、彼女は焼け死んでしまった。
※5 カローンの回参照。
また、アキレウスは、母親が掴んでいた かかと が河に浸からなかった為、その部分が唯一の弱点となったとな〜。
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