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▼ イアソン

 船長(キャプテン)は俺だっつーの!!(目立つな、他!)


 イアソンは、テッサリアという国の王子様♪
 ところが、父王は「だぁぁ〜もう、政治なんぞ面倒やぁ〜! 息子(イアソン)が成長するまで、お前が王様やっといて〜!」と、弟であるペリアースに王位を譲ってしまったのである(ダメ親父 ※1)。
 そういうわけで、イアソンは成長すると、約束通り、叔父であるペリアースに王位の返還を求めたのであるが、王位に執着のあるペリアースが「おぉ、そうであったのう…!」などと頷くはずがない。
 ペリアースは、ニコりんと柔和な笑みを浮かべながら、イアソンに言った。

叔父「うーん、返すのは構わんが、その前に儂の願いを一つ叶えてくれんかのう〜(※2)」

 ペリアースの要請は「コルキスという国にある『金の羊の皮』を譲り受けてくること(※3)」で、遥か遠方の国であるコルキスに辿り着くまでに、イアソンがのたれ死にするに違いない…との意図が隠されていた。ところが、

イア「おっしゃぁ! 任せとけ! おっちゃん! 俺がその金羊毛、
   しっかと取り返してくるよって!(単純)」

 ペリアースの企みを知ってか知らずか、どーん!と胸を叩いたイアソンが次にしたことは、冒険への準備。
 アルゴスという熟練船大工に頼んで見事な舟を作ってもらったのである。
 でもって、船の名はアルゴスにちなんで「アルゴー号」と名付けられ……

 …っと、ここで「アルゴー号?」とピクンと反応してくれた方、有難う♪
 そう! 無敵英雄ヘラクレスやらテーセウス、楽人オルフェウスにetc……、とにかくギリ神の有名どころが総出演〜♪する冒険譚こそ、この金羊毛を求めて旅立つ「アルゴー号(の乗組員達)」の物語「アルゴー遠征記」なのであるー!(ドドーン!! ※4)

 つーわけで、冒険の噂を聞きつけた英雄達が船員(クルー)として、わんさとアルゴー号に乗り込んだのであるが、旅の途中の冒険話はまたいつか〜(近日中に…)。
 何故なら、今回の主役、イアソンくんが活躍するのは、コルキスに辿り着いてからだから!(最後に美味しいとこ持って行くのが主人公! ← つーか、それまでは他の英雄達の方が目立ってる…… ^^;)。

 ついでに言うと、やっと始まったイアソンの活躍自体も、今ひとつ他力本願――。
 一応「金羊毛を、俺に くれんかーー!!」と元気に乗り込んだまでは良かったが、コルキス王が金羊毛を渡す条件として、とんでもない仕事をイアソンに命じてからが、さぁ大変。
 戦の神アレスの持ち物だという「青銅の足をした二頭の火を吐く牡牛」で土地を耕し、そこに「カドモスの竜の歯」を播(ま)けというのがそれなんんだけど……(※5 ちなみに、竜の歯を播くと、そこから武装した兵隊が生えてきて、それを播いた者に矛先を向けてくるという。とてもお強いそーな…)。

イア「焼死…… もしくは、斬殺……」(どよ〜ん……)

 しかし、途方に暮れるイアソンに、女神は微笑んでくれた(いろんな意味で後がコワイ…)。
 コルキス王の娘で、魔女でもあるメディアが、なんとイアソンに一目惚れをし、助力を約束、ついでに結婚の約束までしたのである(ヘラ女神が、愛の女神アフロディテに頼んで、恋心を吹き込んだとか… ※ イアソンが口説き落とした説もあり)。

メデ「これはNASAで開発された、絶対に火傷をしない塗り薬です(嘘)。それと、竜の歯の兵達が生まれたら、その中央に石をお投げなさい。彼らは同士討ちをはじめます……」

 有能な魔女・メディアの助言は、はたしてその通り……。
 イアソンは、難なく試練をクリア。
 しかし、本当の試練は実はここから。金羊毛はなんと、眠らない竜に守られているのである!
 んまぁ、ドラゴンですってよ、奥さん!!
 ……と、期待は高まる一方…なのだが、メディアの魔法の薬によって竜はあっさり眠らされ(眠らないんじゃなかったの!?)、あれよという間に、イアソン君は金羊毛をゲ〜ット!!

 その後、意気揚々と祖国に凱旋したのだが、実は、そこからの人生が超下り坂。
 妻であるメディアが(愛する夫の敵である)叔父のペリアースを残酷な方法で殺した為、すっかり人心は離れ(他にも理由はあるようだけど)、イアソンは王位につくどころか、他国に追い出さるハメに……。

 その後、とある国の王に気に入られ、「うちの娘、嫁にもらわんか〜?」という話を持ちかけられたイアソンは、メディアの残虐性にうんざり&恐れを感じていたこともあり、あろうことか その話を承諾。
 裏切られたと知ったメディアによって、新しい嫁さんもろとも、恐ろしい復讐を受けるのであった(恐ろしすぎる詳細は、次回「メディア」にて〜)。

 こうして、寂し〜く諸国を放浪する身となったイアソン――。
 とある入り江で、偶然見かけた懐かしい友。
 それは…… 廃船となったアルゴー号ではないか……!
 かつての輝かしい日々を思い起こしながら、イアソンはアルゴー号に近づいた。
 その瞬間――

 グシャ……ッッ!!

 頭上から降って来たアルゴー号の残骸に押し潰され、イアソンは寂しい余生から解放されたのであった……。


 ※1  ちなみにパパの名は「アイソン」。で、息子はちょっとひっくり返して「イアソン」。名前つけるのも面倒だったのか……??(な、訳ないって)

    別説では、ペリアースは力づくで兄から王位を奪っていて、イアソンはこの叔父から命を守るために、賢人ケイローンにあずけられていた……とも言われる(こっちのんが、話的には格好良いなぁ)。

   ちなみに、ケイローンは、半人半馬のケンタウロスで、高名な教育者。
   ギリ神の英雄は、たいがいこの御方に教育を受けてたりする。
   ついでに、「射手座」の回参照〜!


 ※2 省略しましたが、イアソンが王位返還請求に来る前に、ペリアースに「片足だけサンダルを履いた男に気を付けろ」ってな謎な神託が下り、その片足サンダル男こそイアソンで、自分の王位を脅かす男だった……ってな話がありまする〜。

    ちなみに、ペリアースを敵視していたヘラ女神(またかい!)が、イアソンに助力するべきか否かを試すために、婆さんに化けて「ちょっと手を貸してくれんかの……」と、川を渡る手助けをイアソンに求めた。その際に、サンダルはどこかに行ってしまったらしいが、これ以降、イアソンはヘラ女神の後ろ盾をGETすることに…。


 ※3 過去にテッサリアの王家で、妾が前妻の子を殺そうとした事件が起こり、その際、ヘルメスに使わされた金色の羊がその子(プリクソス)を救い、コルキスまで飛び去った…(牡羊座の回参照〜)。で、この時の金の羊の毛皮がコルキスの宝となっている。
    ペリアースは「プリクソスが夢枕に立って、自分の遺骨と金羊毛をテッサリアに戻して欲しいと言ってくるのじゃぁ〜」と一芝居打った。


 ※4 前回ご紹介の「アキレウス」のパパである、ペーレウスも乗っていま〜す!
    詳しくは、そのうち「アルゴー遠征記」の回にて〜!

 ※5 竜の歯については「カドモス」の回参照〜(そっちでは、竜ではなく、大蛇にしてあるけど…… ^^;)。
    まぁ、ドラゴンボールの「栽培マン(?)」みたいなもの??


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